全国高校総体サッカー競技3回戦を取材。

高校サッカー夏の祭典、高校総体サッカー競技3回戦を取材しました。

今日は五條市上野（こうずけ）公園多目的グラウンドで2試合を取材。和歌山県境に近い、かなり山深いところに立派なグラウンドがありました。選手が入場する際、「GOJYO SC」と背中に書かれたTシャツを着た少年少女が高校生のお兄さん選手と手をつないで入場、インターハイで初めて見た微笑ましい光景でした。

今大会8グラウンドが使用されていますが、そのうち2グラウンドが人工芝のグラウンド。ここのグラウンドもその一つですが、まったく天然芝と遜色ないピッチコンディションでした。JFA公認とはいえ素晴らしい。

第1試合は、久御山（京都府）vs.米子北（鳥取県）の対戦。久御山は1回戦を埼玉県の浦和東に2-1、2回戦で前年度優勝の流経大柏（千葉県）に5-0と破って3回戦に進出してきました。
米子北は、初戦3-0と水戸商（茨城県）に、2回戦は丸岡（福井県）に4-0と快勝してベスト16に進出。
久御山のスタメンは、GK小久保(3)。DF水野(3)、山本(2)、永野(3)。MF二上(1）、岡田(3）のダブルボランチ、右翼が足立(2)、左翼が山田(2)、トップ下が森岡(3)。FW河面(3)、坂本(2)。3:5:2の布陣です。
対する米子北の先発は、GK真田(3）。DF庫谷(2）、山内(3)、昌子(2)、谷田(2)。MF林原(3)、大江(3)のダブルボランチ、右翼が藪田(2）、左翼が五百川(3）。FW谷尾(2）、山本(3)。中盤ボックスの4:4:2の布陣です。

午前10時暑い中、試合が始まりました。序盤から両チームが積極的に試合を展開。
開始2分、庫谷からロングフィードを受けた谷尾が左サイドをドリブルで切り裂き久御山ディフェンスを置き去りにしてシュート、米子北が先制します。
久御山も26分、河面のパスを受けた足立がゴール左からシュート。同点に追いつきます。
前半は１−１で終了。ロスタイムはなしでした。

後半開始直後も米子北がチャンスを掴みます。3分、中央から山本が右サイドの藪田にパス。ゴール前に走り込んだ谷尾に合わせて再び勝ち越しゴールを上げます。見事な連動でした。
しかし、久御山も怯みません。13分に森岡がペナルティエリアにドリブルで突進。米子北の山内がタックルで止めに入りましたが、塚田健太レフェリーは反則と判定。PKを久御山に与えます。
森岡自身が決めて2-2の同点にします。
16分、米子北はMF五百川を川元(2)に交替。
26分、久御山はエース森岡が無念の負傷交替。堀田(3)をピッチに送ります。
後半アデショナルタイム1分21秒、試合は2-2のまま引き分けで終了。大会規定により、即PK方式で準々決勝進出チームを決定することになりました。
先蹴りは米子北。山本、昌子（1回目は失敗しましたが久御山GK小久保が早く動いたということでアゲイン、成功した）、谷尾、藪田、大江の5人が全員成功。一方の久御山は足立、山田、二上、岡田と4人目まで成功しましたが、5人目の永野が長い時間を取って左に蹴りましたが米子北GK真田がナイスセーブ。5-4で米子北が勝者扱いになりました。　

第2試合は、1回戦で新潟西に4-2、2回戦で宮城県工に2-1と辛勝し３回戦に進出してきた立正大淞南（島根県）vs.初戦不戦勝、2回戦を国見（大津）に5-0と大勝した大津(熊本県）の対戦。
ギラギラと輝く太陽の下、正午キックオフです。
立正大淞南の先発は、GK秋山(3)。DF中村(2)、松田陸(3)、竹内(2)、松富(3)。MF松本(3)、河野(3）のダブルボランチ、右翼が渡辺(2)左翼が川上(3)。FW松田力(3)、徳永(2)。中盤ボックスの4:4:2です。
対する大津のスターティングラインアップは、GK藤嶋(3)。DF中村(3)、右近(3)、古賀(3)、岩崎(3)。MF車屋、谷口のダブルボランチ、右翼が藤崎(3)、左翼が澤田(3)。トップ下が松本(3)。FW坂田(3)のワントップ。4:2:3:1の布陣です。

先手を取ったのは立正大淞南。3分、中央の徳永が右サイドの河野にパス。河野が高速ドリブルで切り裂きシュート。先制します。
大津は、たびたび決定的なチャンスを迎えますが、フィニッシュに締まりがありません。18分には松本が中央をドリブル突破、立正大湘南GK秋山まで躱しましたが、逆サイドのDF中村謙吾がゴール直前でクリア。失点を防ぎます。
22分には車屋がシュート。弱くてGK秋山が難なくキャッチ。27分には右サイドのFKがゴール前でこぼれたボールを澤田がシュート。ふかしてしまいます。
31分、立正大湘南の渡辺が大津GK藤嶋と1対1になりますが、渡辺がシュートを上に外します。
前半のアデショナルタイム1分13秒、大川直也レフェリーが前半終了の笛を吹きました。大津が優勢でしたが、得点は1-0で立正大淞南リードして終了します。

ハーフタイムで大津・平岡監督は、
「思い切って勝負しよう。勇気をもってダイレクトでシュートだ。2タッチまででパスして。相手は疲れてくるから、うちは動いて勝負だよ。こういう時のために、これまで練習してきたんだ」と指示したあと、後半のシステム変更を告げました。
DF岩崎を魚野(3)に交替。車屋を左DFに下げ、エースの谷口キャプテンをワンボランチに。魚野が左翼に藤崎が右翼、澤田をトップにあげ、坂田との2トップ。中盤ダイヤモンドの4:4:2にシステム変更します。
ポゼッションを高くして試合の主導権を握ろうとした大津ですが、後半も先手を取ったのは立正大淞南でした。渡辺、川上の両サイドからスピードアップしオープンクロスで勝負する立正大湘南。
2分に南監督の「早めに上げろ」という指示を聞き川上がロビング気味のクロスをファーに上げると「早めにジャンプして競れ！」という指示に松田力がヘディングシュート。ループ気味に上がったボールは、大津ゴール左隅に吸い込まれて行きました。2-0。

昨日の2回戦も、先に2点取り宮城県工の反撃を1点に抑えて勝利した立正大湘南。完全に逃げに入るパターンです。
大津は２点のアヘッドに対しても攻撃の手を緩めませんでした。９分、右サイドのフリーキックをゴール前の混戦に上げ、松本がリターンパス。これをバイタルエリアからフリーで坂田が叩き込み2-1と1点差。
17分、立正大淞南はFW徳永を大西(3)に交替。20分には負傷で動きの悪くなったMF松本を福島(2)に交替。
23分、大津は長いロビングボールを右コーナー付近に上げます。大津の右サイドバックの中村がオーバーラップして立正大淞南ペナルティーエリアに侵入。DF2人が挟むように対応したところ中村が転倒。大川レフェリーは迷わずPKを宣しました。
このPKを松本が難なく決めて2-2に追いつきました。
立正大淞南は26分、機能しない交替出場のFW大西を小田(2)に交替でした。立正大湘南ベンチにとっては誤算でした。
28分、立正大淞南は中村の蹴ったフリーキックを前線の松田陸がシュート。GK藤嶋の正面に。ヒヤッとした場面でした。ここで大津・平岡監督が2枚目のカードを切ります。FW坂田を俊足フレッシュマン若杉(1)を起用します。
立正大淞南の誤算は右サイドの渡辺が後半途中に負傷してしまい片翼がもがれてしまった事でした。34分には加藤(2)と交替。南監督は、川上を中に入れ勝負しようとしましたが、なかなか川上にボールが入りません。
アデショナルタイム58秒。正規の試合時間70分。2-2引き分けのままタイムアップの笛が鳴りました。

ベスト8進出をかけてPK方式が行われました。
大津が先攻。1番手・中村が右に決めます。
立正大淞南も松田力が左に決めます。
大津2番手・澤田が左に決めます。
立正大淞南は中村が右に蹴りますが、大津GK藤嶋の読みがばっちり。セーブしました。
大津３番手・藤崎が右に蹴って成功。
立正大淞南も河野が決めます。
大津4番手・松本は狙い過ぎて右ポストに当てて失敗。3-2となり立正大淞南に再び追いつくチャンス。
ところが、４番手のキャプテン松田陸が甘いボールを左に蹴ってしまい大津GK藤嶋がセーブ。
最後は大津5番手の谷口キャプテンが左に決めて4-2。勝負ありました。

平岡監督は、
「完全に負け試合でした。でも、ベンチに入ってくれた古沼先生の強運で勝ったようなものですね」と苦笑い。
ただ、私の経験では、どんな大会でも優勝したチームは今日のような試合が1試合あります。全ての試合で完勝することなんか、まずありません。そういう意味では大津、難しい試合を乗り越えることができました。

明日はレストデイ、休養日です。この休養日を如何に過ごすかも重要な事です。そういう意味では経験が豊富な平岡監督のいる大津。チャンスかもしれません。

準々決勝は、中１日置いた８月6日。葛城市新庄第一健民運動場で神戸科学技術（兵庫県）vs.前橋育英（群馬県）、佐賀東（佐賀県）vs.一条（奈良県）。大淀町平畑運動公園サッカー場で玉野光南（岡山県）vs.大津（熊本県）、中津工・東（大分県）vs.米子北（鳥取県）が行われます。

午後４時すぎにホテルに帰り、休養。
夜は薬師寺と平城京朱雀門のライトアップを見てからスタッフミーティング。すでに2人のカメラマンさんが帰京。明朝二人のカメラマンさんが帰ります。
いよいよ近畿まほろば総体も佳境に入ってきました。