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ボッフムへ珍道中、北朝鮮vs.コロンビア戦を取材。

昨夜は23時20分アウグスブルグ発のアムステルダム行き夜行列車があり、2等の自由席も連結していたので飛び乗りました。
「これで朝にはデュイスブルグだ」なんて調子こいで久しぶりに5人がけコンパートメントを独占して寝込んでいたら、突然「終点だよ」と声を掛けられます。暫くすると、電源も切られてしまった。寝ぼけまなこでドアまで行くと「シュツットガルト行き」とドアに張ってある。ホームに降りて空を見上げると駅の塔のてっぺんに見慣れたベンツのマークが。ああ、ここシュツットガルトだと気がつき、大急ぎで荷物を纏めて列車をおりました。どうやらアムステルだム行き寝台夜行に、サービスの2等客車をシュツットガルトまで繋げていたらしい。1時30分くらいの事ですから、ここから次の3時5分発のICEを待つしかない。

3時すぎ、ICEに乗り込み、昨夜の日本vs.イングランド戦のことを反芻してみました。
やはり、日本は完全にイングランドの術数にはまってしまいましたね。
イングランドの作戦はこうです。日本にポゼッションを上げさせ、ある程度攻めさす。しかし、ゴール前は4人のDFとウイングハーフ2人とGK計7人でしっかり鍵を掛ける。日本はバイタルエリアからの強烈なシュートはないから、ゴール前を固めておけば失点は防げる。たまにはオープンからクロスもあげてこようが、それは高くて強いDFとGKでカバーできる。
日本が攻め上がったら簡単なスルーパスでワントップを走らせば、90分で2度や3度はチャンスがあるだろう。そこでフィットネスに劣るCBを抜きされば得点できる。そういったイングランドの術数に日本はまんまと引っかかってしまいました。

考えてみれば、スピード、体格、技量に劣る日本が、アメリカ、ヨーロッパ、北朝鮮といった国々と肩を並べ、世界ランク4位になれたのは何故か。その秘密を捜しにドイツまで来たようなスポーツ三昧です。そこを佐々木監督は、どうダマクラかして北京でベスト4に入り、そしてFIFAランキング4位にまで登り詰めたのか? そこがまさに知りたい。そして北京の再現を期待してドイツまで来たのです。

今回のワールドカップ、日本女子のベスト4の必要十分条件はグループリーグ1位抜けでした。それが叶わず、ちょっとガッカリしているスポーツ三昧です。でも、北京オリンピックでも地元・中国を準々決勝で破った日本です。ドイツで同じ事が出来ないとは限らない。100回に1回しか勝てなくても、その1回が準々決勝であれば良いのです。ひそかに帝京高校の智将・古沼監督の教え子だった佐々木監督に”マジック”を期待しているスポーツ三昧なのです。

そんな事を考えていたら眠られなくなってしまいました。ビストロカーで3ユーロ(360円)のビールを買って寝酒といたしました。

デュッセルドルフに到着すると乗っていたお客さんが向いのホームに入って来たハンブルグ行きICに乗り換え。わたしはガラガラになったIECでデュイスブルグまで行き、そこでベルリン行きのICEに乗り換えてボーフムに8時35分ころ辿り着きました。

この取材も今日で13日目の中日です。そろそろ両替したユーロが残り少なくなってきました。ボッフムで両替出来る処を捜しましたが、駅にはない。銀行へ行け、ということですが、けっこう田舎の銀行は円を両替してくれない。色々捜したのですが、駅の近辺では両替してくれるところはありませんでした。女子といえどもFIFAワールドカップです。参加国の通貨くらいはユーロに両替してほしいものです。
そこでデュッセルドルフまで戻る事にしました。これがジャーマン・レイルウェーパスの醍醐味です。
デュッセルドルフHBFの両替屋、ちょっと両替率が悪かった(1ユーロ130円。暴利!)のですが、ともかく後半戦の軍資金を作り、再びボッフムへ。ICEなら40分の距離です。

今日のスタジアム・メディア・センターのオープンは午後6時。それまでどうするか。結局ドイツ鉱山博物館に行ってみました。ボーフムには、そこしか観光名所がないのです。
今日は時間がたっぷりあります。坑道のガイドツアーに参加してみました。残念ながらツアーのガイドさんはドイツ語しか喋れないそうで、「英語の解説書とかないの?」と聞いてみたら、
「5ユーロ、デポジットいただくけど、英語のガイドがあるわよ」と地図付きの小冊子をよこしました。それを持って、いざ炭坑行きのエレベーターに乗ります。
1980年代まで実際に炭坑として石炭を掘っていた坑道に、ドイツが誇る最新機器が置かれていました。削岩機や石炭を運ぶベルトコンベアーは実際に動くし、なかなか興味あるテーマパークでした。約1時間見学後、一気に外の展望台へ。遠くウッチーが所属するシャルケ04のホーム、ヴェルテンスアレナや、今日試合があるルールシュタディオンが一望のもと見られました。それにしても、ここの展望台と階段、下が透けてみえるので、高所恐怖症の方は絶対に駄目ですね。

ドイツ鉱山博物館のレストランは、シュニッツェル(薄めのトンカツ)が美味しくて、フライドポテもたっぷりつけてビール込み出5ユーロ50(660円)の安さ。今日も賞味してしまいました。

そうやってゆっくり休んでも3時30分。もう、やることもなく、スタジアムへ。4時前には着いてしまいます。前の2試合は、オープン前に入れてくれたルールシュタディオンのSMC。今日の受付のお姉ちゃんは「6時まで絶対に入れない」と強気。しかたなくSMC前の階段に座って、おこぼれの無線LANを拾ってIOCのダーバン総会の様子をWeb Siteで見ておりました。
2018年の冬季オリンピックの開催地が、今日決定するのです。立候補地は、ドイツのミュンヘン、フランスのアネシー、そして3回連続の立候補・韓国の平昌(ピョンチャン)です。
ロゲ会長が南アフリカの民族衣装を着た少年から封筒を受け取り、開催地を読み上げます。
「ピョンチャン」いつも通りの明暗くっきりのシーン。7年後の冬のオリンピックが韓国で開催されることになりました。
「行かなきゃな」と思った反面、これで2020の夏季オリンピックは、同じアジアの東京開催は難しくなったかも、と思いました。

6時少し前、「他のメンバーの方もSMCに入っています。どうぞお入りください」と先ほどの女性がやって来た。荷物をまとめ、「Good Job」と彼女に一言告げてSMCに入りました。
それと同時に、テレビではブラジルvs.赤道ギニア、オーストラリアvs,ノルウェー戦が同時にキックオフ。ブラジルだけがベスト8入りを決めていますが、オーストラリアとノルウェーは勝った方が決勝トーナメント進出というガチンコ勝負です。アジアの仲間オーストラリアが逆転の2-1でノルウエーを破り8強入り。ブラジルは3-0と貫禄勝ち、3戦全勝で1次リーグを終えました。

さて本日の第2試合は、グループCの最終戦、8時45分キックオフのアメリカvs.スウェーデンの首位対決と北朝鮮vs.コロンビアのドベ対決(普通は3位決定戦というかな?)。なぜドベ対決を選んだかというと、本当は北朝鮮がもう好し健闘するかと思っていたのに当てが外れてというところです。取材試合を替えようと思えば替えられたのですが、まあ北朝鮮を一度みたいな、と思って敢えてこのカードを選びました。

さすがに北朝鮮vs.コロンビア戦にはお客さんが集まりません。日本のメディアも私一人。見てやろうじゃないの。
北朝鮮のスタメンは、GKホン・ミョンヒ。DFホ・ウンボイ、リ・ウンヒャン、ユ・ジョンフィ、パク・ソンヒ。MFキム・ウンジョ、ジョン・ミョンフアのダブルボランチ、右翼がキム・スギョン、左翼がリ・エギョン。FWラ・ウンシム、ジョ・ユンミ。中盤ボックスの4:4:2の布陣です。試合直後に2どもメンバー表の訂正が入りました。女子のワールドカップらしい。
対するコロンビアは全試合をフォローする事になってしまいました。先発は、GKセプルベダ。DFモンタノ、、ハイタン、ペディジーネ、アリアス。MFモントヤ、ドミンゲスのダブルボランチ、右翼がオスピナ、左翼がロダジェガ。FWカストロ、ベラスケス。こちらも中盤ボックスの4:4:2の布陣です。

コロンビアは個人技、特にベラスケスは1990年代のバルデラマのよう。持って持って遠目からシュートを打ちます。
北朝鮮は、小気味よく繋いでコロンビアゴールを目指しますが、正確度が今一歩。芝生が長いせいかもしれません。
前半はアデショナルタイムなし。0-0で終了します。

ハーフタイムで鄭大世選手に逢いました。ここは彼のホームグラウンドだし、北朝鮮代表の彼が応援に来るのは当たり前ですね。

後半も同じような展開。ドリブルで一人で突っかけに行くコロンビア。丁寧にショートパスを繋げて崩しに掛る北朝鮮。しかし、むしろ北朝鮮はバイタルエリアからのロングシュートがチャンスでした。それだけキック力がある選手が多いのでしょう。ところが、今日は精度が悪い。やはり芝生が長いせいでしょうか。
北朝鮮は、後半3分にMFキム・スギョンをキム・チェンシムに。11分にはFWジュ・ユンミをユン・ヒョンヒに交替。前線を活性化させますが、なかなかゴールは生まれません。
31分には、後半11分に入れたユン・ヒョンヒをチョエ・ミギョンに交替。キム・クワンミン監督は何を考えているのか?
コロンビアのリカルド・ロソ監督は、「スタメンで使っているのがベストメンバー、替える必要はない」とばかりに選手交替をしません。ようやく、43分にFWカストロをビダルに、44分にMFモントヤをサラザールに交替しますが、これは負傷のため。
アデショナルタイム4分6秒、ペデルセン(NOR)主審が、両チームにとって今ワールドカップのタイムアップの笛を吹きました。0-0に終わりました。

コロンビアのイレブンは、大会を終えてホットした表情。北朝鮮の選手は泣いている選手がいました。その彼女たちをアシスタントコーチ(?)のオモニがタオルで汗と涙を拭きながら励ましているのが印象的でした。

試合が終わりマッチレポートを受け取ることもなく、脱兎のように走り出しトラムに乗りました。今日は観衆7,805人で、そんなに混雑しておらずトラムでボッフムのハンプトバーンホフへ。

23時30分発のケルン方面の最終ICEには悠々間に合いました。
ところがデュッセルドルフ着が0時10分。日付を跨いでしまうので、車掌に何か言われると嫌なので、自動販売機で一応切符(11ユーロ40=1368円)を買って日付を打って用意しておきました。検札にきたDBおばちゃんに、ボンホフで買ったチケットを見せると、
「この切符じゃICEには乗車できません。同じ11ユーロ40で新たにICE用の切符を買ってください」ときた。こちらは、窓口は閉まってしまっているし正直に同じ料金を払って乗っているのに何故だ、と反論したいところでしたが、そこは我慢して黙ってジャーマンレイルウェーパスを見せると、
「ダンケ」と一言、去って行きました。よく分らないシステムです。11ユーロ40、損してしまいました。

デュッセルドルフHbfでは、深夜ということでU-79のトラムが20分来ない。乗り継ぎの#834のバスは0時14分に最終が終わってしまっていました。
仕方なく、重い荷物を背負ってライン河を橋で渡る事に。とっても夜景がきれいでした。
「この風景も一生わすれられないな」なんて呟きながら、約20分で橋を通過。
ホームスティ先のお宅に着いたのは1時すこし過ぎ。待っていてくださって、申し訳ありません。ありがとうございます。

ビールを飲みながら、FIFAのメディアチャンネンルで7月10日に行われる準々決勝の第2節のメディアチケッティングをしようとドレスデンのカードを開くと、なんと「ブラジルvs.アメリカ」となっていました。
『?』
わたしは、どんなカードになっても7月10日は、今大会一度も行っていないドレスデンンに行くつもりでいましたが、まさかアメリカがスウェーデンに敗れてCグループ2位抜けになるとは。明らかに準決勝で地元ドイツとの対戦を避ける為の負けとしか思えません。スウェーデンにしても準々決勝でブラジルと戦うよりもオーストラリアと戦った方がズッとベスト4の可能性は高いですからね。
「ワールドカップって深いなぁ〜」、と思いながら眠りについたスポーツ三昧でした。
<了>
[速報]
北朝鮮 0-0 コロンビア
アメリカ 1-2 スウェーデン
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